音楽療法
音楽療法とは
音楽を聞いたり演奏したりする際の生理的・心理的・社会的な効果を応用して、心身の健康の回復、向上を図ることを目的とした健康法ないし代替医療です。歌唱や演奏を行う能動的音楽療法と、音楽を聴くなどの受動的音楽療法の2つに分かれます。
音楽療法の可能性
当院は、外来診療と共に、精神科デイケアを行っています。高齢者、思春期青年期、キッズを対象としており、そのプログラムの1つに音楽療法を行っております。
大きな病院や施設では音楽療法はかなり定着してきていますが、クリニックではまだまだ普及していません。
当院では音楽療法のいろいろな可能性を信じ続けていきたいと考えています。
音楽療法の効果
人は、心地よい音楽を聴くと自然に体が動いたり、口ずさんだりします。
また楽しい気持ちになったり、すっきりした気分になったという経験は誰にでもあると思います。音楽には不思議な力が秘められています。
この力を最大限に利用して、心身共に健康に導き心の安定化のためにいかすことができたらとの思いで音楽療法を始めました。音楽を通して自分を取り戻したり、昔を思い出したりすることが心の不安や葛藤、怒りを取り除くことができるのではないでしょうか。実際に家族と会話がなりたたなくなった認知症のお年寄りが、スムーズに会話が出来たりすることもあるのです。
最初は集まる人々が少しでも居心地よく、活気が出ることを目標にしました。
ところが、この実践をおこなっているうちに、ある家族の方から「音楽療法のある日は、帰宅したときだけ何故かおばあちゃんとスムーズに会話ができる」ということを聞きました。もちろんその状態は長く続くわけではないのですが。
また、認知症が進行し、家での生活はほとんど全介助のおばあちゃんの家族の方が、ディケアのお迎えにこられたときに、ちょうど音楽療法をおこなっていたのです。その様子をご覧になって「どうしてあんなに笑顔が出ているの?あんなに上手に歌を歌っているのは、本当におばあちゃん?」と聞かれたのです。家では考えられない姿だったのです。本当に驚き、喜び、うそのようだと言われました。
短時間の音楽療法ですが、人々の心が音の記憶を蘇らせ、心地良さを与え、喜びを与えることは確実だと考えています。
数値で表すことが出来ない人の心の状態ですが、その人の気持ちや生活に変化をもたらすものであることを信じて、おこない続けていきます。